森里海の色
四季の鳥「モズ」
気の強さと美しさ
鵙の声かんにん袋破れたか 一茶
キチキチ、キーキッキッ。公園や里山を散歩していてモズのするどい高鳴きをよく聞く季節になりました。私の暮らす神奈川県では1年中いる鳥ですが、繁殖期後の夏はほとんど見られず、モズの高鳴きを聞いて、ああ秋になったと思うのです。高鳴きはモズの縄張り宣言、オスもメスもします。テリトリーの中にいる鳥は同類でなくても、ツグミやヒヨドリなど自分より大きな鳥でも追いかけて威嚇します。この気の強さと美しさを同時に持っているところが、モズのたまらない魅力です。
モズの食事は主に昆虫やトカゲ、カエル、ミミズ、毛虫などの動物食ですが、捕らえた獲物をとがった枝先に挿す「はやにえ」という不思議な行動をします。獲物を保存するためだとか、食べやすいように獲物を固定するためだとか、いくつかの説がありますが、本当のところはモズにしかわかりませんね。一茶の面白い句をもう一つ紹介しましょう。草茎とははやにえのことです。
草茎を預けばなしで又どこへ 一茶