森里海の色
四季の鳥「オオソリハシシギ」

シギの過酷な渡り

人の喧噪がようやくおさまった秋の海岸に、シギを見たくなり行きました。潮の引いた干潟にいたのはオオソリハシシギ。春と秋口に日本の干潟に寄ってくれる全長40センチほどの旅鳥です。大きなピンク色のクチバシがやや上に反っているのが特徴で、クチバシを砂地に刺したり、水中で左右に動かして小さなカニやゴカイなどをさかんに食べます。

オオソリハシシギ

私がバードウォッチングをするようになってまもなくの頃、朝日新聞にオオソリハシシギについてビックリする記事が掲載されたことがありました。アラスカで繁殖したオオソリハシシギがニュージーランドまで1万キロ以上をノンストップで8日間で渡ったという記事でした。オオソリハシシギの体重を図鑑で調べてみると、200グラム前後から450グラム前後と書かれています。この体重の差は渡りの前後のエネルギーの消耗を示しているのでしょう。オオソリハシシギの過酷な渡りでは脂肪だけでなく筋肉や内臓をつくっているタンパク質までエネルギーとして使ってしまいます。シギたちにとってかけがえのない栄養供給基地である日本の干潟が、いつまでも守られることを祈らずにはいられません。

著者について

真鍋弘

真鍋弘まなべ・ひろし
編集者
1952年東京都生まれ。東京理科大学理学部物理学科卒。月刊「建築知識」編集長(1982~1989)を経て、1991年よりライフフィールド研究所を主宰。「SOLAR CAT」「GA」等の企業PR誌、「百の知恵双書」「宮本常一講演選集」(農文協)等の建築・生活ジャンルの出版企画を多く手がける。バードウォッチング歴15年。野鳥写真を本格的に撮り始めたのは3年前から。