森里海の色
木版画が彩る世界「ミズヒキ」
ミズヒキは、タデ科の植物。タデ特有の長い花序が、ご祝儀の水引に似ているところから名付けられました。
水引、というと、植物よりも、祝儀袋についているアレを想像する人のほうが多いだろう。
実際に、植物の方のミズヒキも、祝儀袋の水引から名付けられたようだ。
では、その水引の名前の由来は?
元来、水引は紙で作ったこよりに糊を引いて、それを固めてつくるものだった。
糊水を引いたから水引
水に浸して引きながら染めたから水引
などの説がある。
そもそも、水引がどうして使われるようになったのか、これにも諸説あって、
遣隋使がいただいた献上品に紅白の紐がかかっていた
明との貿易の輸入品に紅白の縄が縛ってあった
航海のお守り・魔除けの縄に由来する
などがある。
そんな由来を考えるのが馬鹿らしくなるほど、現代では水引の地位は低い。祝儀袋も、安めのやつは水引が印刷されているだけで、実際の紙こよりなどはついていない。ちょっとお高めで、ついているやつだって、結んだ形があらかじめくっついていて、祝儀袋を送る人が、こよりを結ぶこともない。(上流階級だと、結ぶこともあるんでしょうけれど、経験がなくて…)
贈り物としての心、ということで紙こよりだったのか、貿易上の目印で縄が縛ってあったのか、それはわからない。目印だったら印刷でいいんだろうけれど。
木じゃないのに木目調印刷、というのをよく見かける。コンクリートで出来た擬木もしかり。よく考えずに、昔からあったものを現代の材料に置き換えるって、先人の気持ちを放り投げて形だけ真似ておくようで、まったく心地が悪い。だからといって水引を、糊で引いたこよりで結ぶかというと、結局そこらで印刷された祝儀袋を買ってきてしまう。
言うは易く行うは難し、であるなあ。
文/佐塚昌則