森里海の色
木版画が彩る世界「セツブンソウ」

その名の通り、節分の頃に咲くことから名付けられた儚げな草です。珍しい花こそ、持って帰りたくなるかもしれませんけれど、その場にそっとしておいてあげましょう。


 
節分は豆を撒く日、というのは今でも根強く残っていて、スーパーマーケットには、まだ松の内から、豆やら鬼のお面やらが売られるようになる。恵方巻きの予約も始まっている。待てよ、ほんの少し前はクリスマスだったよな……。

こんな風に、年末年始は怒涛の暦行事が押し寄せてくる。

立春が、七十二候の1年の始まりなので、節分は1年の終わりだ。つまり、七十二候的にはまさにこれからが年末年始ということになる。
正確には、立夏、立秋、立冬の前日もそれぞれ節分だけど、1年の始まりが立春、とされているので、春の節分が年末になる(なんで立春が1年のはじまりかは、きっと「はじめてのこよみ暮らし」に出てくるんじゃないかな、楽しみにしよう)。

春の節分こそが節分の中でも代表格、というのは、ちょうどこの頃に咲くこの花が、節分草、と名付けられていることからもわかる。ただ、この節分草、僕の住む静岡県では絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。個体や生息地が急に減ってしまったり、条件が悪くなっている種ということだ。

そういう危機に瀕している草花を、家庭の庭で守り育てよう、というのが、「一坪里山運動」だ。乱獲もまた、絶滅危惧種に追い込むことになるから気をつけないといけない。物事にはいい塩梅、良い加減、ってものが必要ということ。これからも「良い加減」でいきたい。

文/佐塚昌則