森里海の色
木版画が彩る世界「シロダモ」

春分から10日ほど経ちました。昼夜が同じ長さの春分から、夏至に向けて、毎日少しづつ昼が長くなっていきます。
多くの植物にとっては、この頃が一番元気がでる時期、なのではないでしょうか。


 
春分について、暦便覧では「日天の中を行て昼夜等分の時也」と述べている。
暑さ寒さも彼岸まで、の、寒さのほうの彼岸でもある。

本当に彼岸から寒くなくなるのか?

気象庁の平年値(1981年〜2010年までの観測値の平均をもとに算出されたもの)を見てみると、
札幌では、3月20日の平均気温、最高気温、最低気温はそれぞれ1.5℃、4.8℃、-1.9℃。
仙台では、5.5℃、10.0℃、1.4℃。
東京は9.2℃、14.1℃、4.8℃。
名古屋9.3℃、14.6℃、4.7℃。
大阪10.1℃、14.3℃、6.2℃。
福岡11.0℃、15.1℃、7.3℃。
那覇19.5℃、22.2℃、17.1.℃。

当然、地域差がある。札幌の最高気温は、東京の最低気温と同じだ。
けれど、札幌の1月の平年の最低気温が-7℃ぐらい。最高気温は0℃を下回るぐらいだから、5℃ぐらい上昇している。
東京の1月の平年最低気温は1.6℃だから、3℃少ししか上昇していない。
そう考えると、札幌のほうが「寒さが減った」といえるのかもしれない。

暑さ寒さを表すのは、もちろん気温だけではないが、こと気温だけを見ても、やれ何℃だ、というのは目安にこそなれ、絶対的な暑さ・寒さを示すものではない。

そういう意味での、「暑さ寒さも彼岸まで」というのは、なるほど理にかなっているのだ。

シロダモは、秋に花と実を、ほぼ同時に付ける。そこから冬を越して、若葉が萌えてくる季節になる。冬だって、もちろん植物は活動しているけれど、シロダモのように、目に見えて動き出すこれからの季節は、やっぱり楽しみだ。

文/佐塚昌則