はじめてのこよみ暮らし
七十二候をはじめて過ごす「家族」の記録
腐草為蛍
しほと太郎は、七十二候の腐草為蛍の通り、腐った草が蛍になるのだろうか? と疑問に思い浜松城公園に来ました。
太郎 ここがメダカやヌマエビをよく見るせせらぎです。
しほ そうなんだ。ここの水辺は奥行きがあって、いいね!
太郎 あそこがメダカ採りに夢中になった四歳児が引き寄せられるようにせせらぎへ落ちたことで有名な淵ですね。
しほ その児はどうしたの?
太郎 その児は……
しほ えっ(ビクッ)、その児は……ねぇ、どうなったの?
太郎 「水のなかはキレイだ」と言っておりました。
しほ なんだ……。
しほ でも、ここでメダカとか小動物を採ってもいいの?
太郎 ああ、それですか。それについてはこういう看板があります。
しほ この看板によるとメダカは採っちゃいけないんじゃない?
太郎 そう読めますか? 「ホタルや興味のある植物に出会えても採らないで下さい」ということは、植物は採ってはいけないけれど、動物はホタルでなければ不問と読めます。たぶん植物は市が植えたのでしょうし、ホタルに尽きるいては、11月にホタルの幼虫放流会が中区の区振興課などの担当で行われています。その他の動植物は市が関知しないという態度なのでしょう。
しほ 本当かなぁ?
太郎 そうでないのならば、浜松市当局は植物が腐って蛍になると信じているという線も、捨てきれませんよ。
しほ まさか!
しほ でも夜に見る蛍を、なんで私たちは昼に見に来ているんだろう。
太郎 見立て、です。私には飛び交う蛍火が見えていますよ。
腐りつつ蛍袋は風鳴らす 林甲太郎