はじめてのこよみ暮らし
七十二候をはじめて過ごす「家族」の記録
紫陽花の色
しほと太郎がよく行く浜松城公園、梅雨になるとよくあじさいが咲いています。でも白・青・赤といろんな色のあじさいがあって……
しほ ねぇ、太郎。あの青のあじさいと白のあじさいは株が違うから色が違うのは分かるんだけれど……。
太郎 はい。
しほ なんであのあじさいの花は赤いの?
太郎 なんででしょう。あじさいは七変化と呼ばれるくらい花の色が変わります。色は、土壌が酸性かアルカリ性か、アントシアニンと反応するアルミニウムイオンなどの量で変わるらしいですね。
しほ そうなんだ。
太郎 子どものころに読んだとある推理マンガだと、今まで青い花しか咲かなかったあじさいがその年だけ急に赤くなったので掘ってみると株の下を掘ると死体が埋まっていたという話もありましたね。
しほ 事件のにおい! じゃあ、あのあじさいの下にも、死体?
太郎 編集長、落ち着いてください。ジッチャンの名にかけてそんなことはないと思います。同じ株でひとつだけ花の色が違う場合、花に届くアンモニアイオンの量が違うらしいですよ。
しほ どういうこと?
太郎 あの赤い花だけ、他の青い花とは離れた位置に咲いています。その赤い花を咲かせる茎だけ何らかの原因でアンモニアイオンの吸収がしにくくなっているので、あの花だけ赤いままだと考えられます。
しほ そうなんだ。でもなんで吸収しにくくなっているんだろう?
太郎 リン酸の影響があるとアンモニアイオンを吸収しにくくなるようです。リン酸の原因になるような小動物の死体が赤い花側の根元に埋まっているのかもしれません。
しほ やっぱり死体。
金田一少年半裸半夏生 林甲太郎