森里海の色
柿木村の一輪挿し「ヤマゴボウ」

山牛蒡

もしかするとこれはセイヨウヤマゴボウなのかもしれない。
ヤマゴボウとなかなか区別がしづらい。

散歩道の田んぼの土羽に一本だけ咲いていた。

秋には葡萄のような色の実を付けるけど今の時期の花がとても可憐だ。
太い茎に大きな葉、小さくてコケティッシュな花が付いている様はアンバランスだけどそれでも花の姿は美しくて可憐だ。

花はその姿に似合わない名前を付けられたり、逆に名前に見紛う花を咲かせたり……。

人もまた同じことなのかもしれない。

やまかぜに首刎ねられてことばなくやまごぼうの根元に六月の水 石まくら

著者について

田村浩一

田村浩一たむら・ひろかず
建築
1954年生まれ。株式会社リンケン代表取締役。中国山脈の辺境の地で、美しい森や川や棚田に囲まれながら木と建築の仕事を展開。山野辺の四季の移ろいを感じながら、酒を愛し、野の花を愛で、暮らしに寄り添う棲家とは何かを考えながら生活している。一輪挿しはライフワークのひとつ。