森里海の色
柿木村の一輪挿し
「ハクチョウソウ」
まるで悪意を持ったような台風が過ぎ去った。
自然が歪められているような気がする。
自然とは人の気持ちを癒し、和ませ、そして共生するもの。
無論、自然の厳しさを知らぬわけでもない。
それでも人々はその厳しさを受け入れながら呼応しながら生きてきた。
今、その自然が邪悪な意思を抱き始めているような気がしてならない。
僕らは知らずのうちに自然を怒らせていたのだろう。
それでも暑い日差しの中で白い花が咲いていた。
ハクチョウソウはその白い花姿から白鳥草とも白蝶草とも呼ばれている。
小さな花からは飛ぶ蝶の姿の方が似合っている。
照りつける陽の下でひらひらと舞う姿が涼を運んでくれるようだ。
変哲もないガラス瓶に挿してみた。
化粧っ気のない素っぴんの涼やかな花だからそれが似合うと思った。