森里海の色
柿木村の一輪挿し
「ホトトギス」

杜鵑草

妻が大事にしていた裏庭が放置庭になってしまっている。
遠くに住む娘から帰省のたびにそのことを叱られている。
この夏も暑い中、何日かかけて蔓延った草取りや枝払いをしてくれた。
山のように積まれた雑草と枝を裏山の大きな桜の根元に運んだ。
汗の後のビールは格別に美味かった。
綺麗になった庭に不如帰ほととぎすが花を咲かせた。
不思議な模様だけど品のある色姿は高貴な女性を想わす。
春には株分けをして増やしてやりたいと思う。

著者について

田村浩一

田村浩一たむら・ひろかず
建築
1954年生まれ。株式会社リンケン代表取締役。中国山脈の辺境の地で、美しい森や川や棚田に囲まれながら木と建築の仕事を展開。山野辺の四季の移ろいを感じながら、酒を愛し、野の花を愛で、暮らしに寄り添う棲家とは何かを考えながら生活している。一輪挿しはライフワークのひとつ。