森里海の色
柿木村の一輪挿し
「クズ」
手入れの行き届かない裏の山肌を葛の蔓葉がはびこっている。
繁殖力の旺盛な蔓は厄介者のイメージが強いが大きな葉の裏に隠れるように
薄紫の花が咲いていた。
改めて見ると馨しい香りと艶っぽい色は大人の色香だ。
葉陰に咲いているので裏見草の別名がある。
裏見は恨みにも通じる。
クズと言い、恨みと言い、あまり嬉しい名前ではないのが残念な花なのだ。
まだ若くて青臭かった遠い昔、酒を呑みすぎてグータラな人生を送っていた時期があった。
このロクデナシ、とかクズッと罵られた記憶がある。
葛餅は好きだし花の色姿も好きだけど葛という語呂にはあまり良い思い出が無い。