森里海の色
柿木村の一輪挿し「チャノハナ」

茶の花

しけ寒の朝、散歩途中の山肌にポツンと咲いていた。
濃い緑の固い葉に白の花がふわりと浮かんでいるようで
侘びしさを感じてしまう。

茶花という言葉にぴたりと合う。

近くの集落で小規模ながら古くからお茶栽培が行われていた。
山水が豊富で寒暖の差も大きいせいか美味しいお茶が採れる。
高齢化で栽培農家も激減していたが、最近になって都会から移住した
若者が栽培を繋いでくれるらしい。

美味しい水で美味しいお茶。
美味しい生活ができるのだ。

著者について

田村浩一

田村浩一たむら・ひろかず
建築
1954年生まれ。株式会社リンケン代表取締役。中国山脈の辺境の地で、美しい森や川や棚田に囲まれながら木と建築の仕事を展開。山野辺の四季の移ろいを感じながら、酒を愛し、野の花を愛で、暮らしに寄り添う棲家とは何かを考えながら生活している。一輪挿しはライフワークのひとつ。