はじめてのこよみ暮らし

七十二候をはじめて過ごす「家族」の記録

炙ったぶちのり

舞阪漁港へ魚上氷を探しに行く。

2月14日から七十二候は魚上氷うおこおりをいずるに変わります。しほと太郎は浜松市の舞阪漁港へ出かけました。

しほ 相変わらず風が冷たいね。
太郎 まだまだ浜松は西風が強いですね。ところで何で僕たちは舞阪漁港に来たんだっけ。
しほ え、言ったじゃん。春告魚がシラウオだというからそれを食べにきたんだよ。
太郎 編集長、舞阪で採れるのはシラウオではなく、シラスですよ。
しほ え、そうなの!
太郎 まぁ、気を落とさないで。シラスも確か春から採れるらしいので春告魚でも間違いないでしょう。
舞阪漁港

しほと太郎は舞阪宿にある乾物店、丸三堀江三郎商店さんを訪ねます。

しほ そういえば通りすがりにあった本陣とか脇本陣って何?
太郎 殿様が停まる旅館ですね。舞阪宿は東海道の宿場町だったので、参勤交代の大名が泊まったんです。
しほ あ、ここだ!

丸三堀江三郎商店

しほ ここは入社前に社長に連れて行ってもらったお店だね。
太郎 おお、なつかしいですね。入りましょう。
しほ すみません、シラスは今の旬ですか?
お店 シラスは3月から漁が解禁になるんですよね。
しほ そうなんですか。今の旬は何ですか?
お店 今は海苔です。これは全部ぶち海苔といって青海苔と黒海苔をまぜたものなんです。炙って海苔の味を楽しんで食べるんですよ。
太郎 では、ぶち海苔を一帖ください。
お店 はい、ありがとうございます。

しほと太郎は会社に帰り、さっそくぶち海苔を食べます。

太郎 ガスコンロのガスボンベがないのでトースターで焼きましょうか。
しほ 焼き時間は一分くらいかな。
太郎 焼き過ぎるとピリッっという苦味が出るそうですから、そのくらいでしょう。

一帖づつ焼きます。

太郎 少し色が青みがかってきましたね。
しほ いい匂いもしてきたよ。

炙ったぶち海苔

しほと太郎はパリパリ割りながら食べました。

太郎 ああ、いいですね。お米を炊きたくなりますね。
しほ うん、海苔だね。

あなたの地域の春告魚は何ですか?

上顎にひつつく恋や海苔あぶる 林甲太郎