はじめてのこよみ暮らし

七十二候をはじめて過ごす「家族」の記録

葉山町町役場花の木公園

葉山の旧足立正別邸

太郎は藤沢でしほを拾い、湘南へ車を走らせます。住宅遺産トラストさんが開催している旧足立正別邸の見学会を訪れるため。

しほ ちょっと、見学会の開始時刻に間に合わないんじゃない?
太郎 いや、「間に合うかもしれない」って上腕二頭筋が言っています。
しほ 太郎は何キャラになったの?
太郎 (キキキー「キャー」キキー)はい、到着です。まだ十分あります。
しほ それはいいんだけれど、今なんか悲鳴が聴こえなかった?
太郎 編集長、ノー・プロブレムです。それより駐車場の裏山に躑躅が色とりどりに咲いていますよ。
しほ 何て読むの?
太郎 ツツジです。

葉山町役場

しほと太郎はH町の山沿いを駆け抜けて旧足立正別邸に到着しました。

太郎 庭が大きて門から玄関までで家が六軒くらい建ちますよ。
しほ だね。でもこんなに大きくても庭木はよく手入れされているね。
太郎 さすが湘南の金持ちの別邸です。
しほ どんな人の別邸で、今はどんな人が住んでいるんだったんだろうね。

旧足立正別邸

しほと太郎はなかで解説を聞きました。

しほ この別邸を建てたのは足立正さんという王子製紙の社長さん。腐蝕したパルプ材を有効活用するため王子製紙苫小牧工場で作った繊維版トマテックスを内装と外壁にふんだんに使っているんだって。
太郎 自分の家で自社製品を実験したわけですね。それにしても外壁に繊維材ってのはおもしろいですね。
しほ 外張り断熱の走りかもしれないね。

外観

知らないお姉さんAとBの会話。

A きゃー、こんな部屋でおままごと遊びしたい!
B きゃー、こんな部屋で暮らせたらいいのになー!

太郎 いつまでも少女の心を忘れないって大事ですね。
しほ ……。

大麻を栽培したいなぁ

太郎 畑があるんですね。
しほ 太郎はもし畑を持ったら何を植えたい?
太郎 畑、ですか。私は生活全般を自給できることをどうしても考えるのでまず粟や黍などの雑穀類。それに煙草と〇麻ですね。
しほ なんで煙草が自給に必要なの! それに今「おまわりさんこいつです」な単語を言ったよ!
太郎 いやですね、苧麻とか亜麻ですよ。繊維をとるだけです。

青空はまだ色のない躑躅かな 林甲太郎