はじめてのこよみ暮らし
七十二候をはじめて過ごす「家族」の記録
蜜柑の花が咲いた
太郎はアパートのベランダで蜜柑の樹を育てています。牡丹華のある日……
しほ 太郎! この写真どこで撮ったの?
太郎 え、え、なんの写真ですか(心臓バックバク)
しほ このインスタグラムの写真!
太郎 ……。
しほ これ、みかんの花でしょ。どこで撮ったの? 私、咲いているみかんの花は見たことがないから見たいんだけど。
太郎 そ、それは我が家のベランダで育てている蜜柑の花ですよ。
しほ えーっ、そうなの? 確か、あのみかんは冬の空っ風で葉が落ちたんじゃなかったっけ?
太郎 落ちたことには落ちたのですが、2月に私がせっせと肥料を注ぎ込んだので若葉が出てきて、10日前くらいから蕾も出たんです。
しほ そうだったの?
しほは数週間ぶりにベランダに出ます。
太郎 ほら、ここに咲いていますでしょ?
しほ ほんとだ。二輪だけ咲いているね。でも確か豊川市で見たみかんの樹はたくさん蕾がついていたけれど、ここの蕾は少ないね。
太郎 それは肥料の質が違うのと、豊川市の樹はもう枝葉が伸びきっていたおとなの樹で、花へ集中的に栄養が注ぎ込まれているからですね。一方で、この樹はまだ若くて葉や枝が伸びている最中なのでそちらへ栄養を優先しています。だから花の数は少ないんです。
しほ そっかー、これはまだまだ若いみかんなんだね。それにしてもかわいい花。
太郎 ふむ。七十二候も牡丹華ではなく、蜜柑華の方がふさわしい季節ですね。
しほ いいね、マイ七十二候だね。
果樹の花が咲くころ、あなたの地域ではどんな花が咲いていますか?
太陽を半分もらふ花蜜柑 林甲太郎