はじめてのこよみ暮らし
七十二候をはじめて過ごす「家族」の記録
鞆の浦のひな祭に行ってきました。
2月18日、しほは取材のついでに広島県尾道市に暮らす阿部純さんの案内で、福山市にある鞆の浦を尋ねました。ジブリ映画『崖の上のポニョ』でも舞台となった港町です。本来の目的地は「鞆の津ミュージアム」だったのですが、駐車場を探している中で、しほは偶然この町の季節イベントが開催されていることを発見し、車を降りて町を散策しました。
しほ あ、旗に「ひな祭」って書いてある! そうか、もう2月も下旬になるから、お雛様を飾る季節なんだな。あれ? 張り紙がしてある。「手作り雛です どうぞお入り下さい」。ということは、家の中に入っていいってこと? こんにちはー!
あれ、人は出てこないな。聞こえないのかな。それにしても、すごい雛人形。小さい人形がテーブルの上に所狭しと並んでる。ここは根本家の手作り雛と。
(テーブルの下にたくさん置いてある、空きカップのようなものは何なのか、気になるけど……)
次のお宅はどうだろう。人が入りやすいように、玄関が開けてあるんだ。
しほ こうやって、ウィンドウディスプレイのようにガラス越しに飾っている雛人形を見ることもできるんだな。(この焼き物の器は何だろう……)
しほはいくつかのお宅を周り、いろんな雛人形を見て、「鞆の津ミュージアム」も堪能して浜松へ帰ってきました。
しほ 太郎!これ見てよ、すごいもの見ちゃったの。
太郎 何ですか、編集長。「鞆・町並ひな祭」とは、また貴重な雛祭を見てきたんですね。
しほ これなんて、明治期の雛人形を展示しているお宅なんだよ。
太郎 由緒正しい町家のようですね。どんな雛人形だったんです?
しほ こんな感じで、おままごと道具と一緒に、お煮ごと道具なんてのもあった。七輪もこの食器類も、実際に使っていたんだって。すし桶にはバラ寿司入れて、茶碗に盛ったんだって。
しほ これは着せ替え人形。お侍さんのちょんまげとか子どもの頭などのカツラを交換することができるもの。洋服も人形に合わせて作っていたんだって。和紙でできているの。
太郎 ほほう、これは面白い、本当に雛人形ですね。
しほ 一緒に見ていたおばあちゃん達も、懐かしいって喜んでた。
太郎 私が見慣れているのは布製ですが、これらの雛人形は和紙でできているんですね。
しほ そうなのね。これは雛料理。
太郎 小さいですね。これに料理を盛っていたんですか?
しほ そうだよ。各家庭というよりは、豪商でお手伝いさんがいるようなお家でやっていたみたい。雛懐石として、お雛様を飾った前に小さい子たちに振舞っていたんだって。
太郎 この説明してくれているおかあさんも遊んだのかな。
しほ いや、このおかあさんよりずっと前の人たちのことだって。塗り物の器も江戸時代のだって言ってたから。
太郎 それは古い。面白そうですね。他の地域ではどんな雛祭が行われているのか、知りたいですね。
雛人形は、節分の時から飾ったり、ミズハノメ(罔象女神)という子宝・安産の女神が水神であることから二十四節気の雨水から飾ったり、地域によって飾り付けの時期が異なるそうです。あなたの地域ではいつ雛人形を出しますか?
浦の日は届くひいなのかんばせに 林甲太郎