森里海の色
柿木村の一輪挿し「ボケ」
白と薄紅色のグラデュエーションが籠の中で華麗なる雰囲気を醸し出している。
木瓜の花は桜に比べて日持ちが佳いのが嬉しい。
「花に嵐のたとえ、サヨナラだけが人生だ」と古い中国の詩を訳したのは鱒二だった。
確かに美しい花は短い命を惜しまれて散るからこそいいのだろう。
人もまた呆けて生きさらばえるより、花の下で酒を酌み交わし風に吹かれて静かに去り行くのが佳しなのかもしれない。
そんな戯言を言うやつがいつまでも長生きするのさ、とボケの花にツッコまれた気がした。