森里海の色
柿木村の一輪挿し
「ヒメウツギ」
白い花が次々と咲く裏庭。
二月の雪、三月の風、四月の雨が美しい五月を連れてくる。
姫空木の花が可憐に咲いている。
この花が咲くと、吹く風ももう初夏の匂いだ。
遥か昔、何故かギンガムチェックの夏服の似合う人が好いと思った。
H・カミンスキーの上質なラフィア素材のつば広帽子も似合っていた。
日焼けを気にしてかいつも目深に被っていた。
月日は流れる。
久々に街に出かけると降り注ぐ陽光の中を闊歩する夏服姿を眺めていると
アーウイン・ショーの小説を思い起こした。
夏服の女たちは白い花のように凛として颯爽として眩い。