森里海の色
柿木村の一輪挿し「ユキノシタ」
裏庭の奥上段には山水を溜めるコンクリート製のタンクが造られていて亡くなった祖母や母が毎朝その水を汲みお茶を沸かしていた事を覚えている。
湯飲み茶わんに入れた熱いお茶とコップの清水をお仏壇に供えていた。
ずっとそれを見て育ったので今でもお勤めは続けている。
山の伏流水はミネラルたっぷりで美味しいお茶や珈琲が淹れられるのだ。
古びたタンクの余り水がホースで引かれている水辺に今、ユキノシタの白い花が咲き乱れている。
字の如く初夏に降る雪の様だ。
近づいてよく見るとその花弁はまるで群れて飛ぶ小さな妖精のようであり風に揺れると踊りだしているようにも見える。
光と風と水の微粒子に合わせて妖精たちの
ダンス、ダンス、ダンス。