はじめてのこよみ暮らし
七十二候をはじめて過ごす「家族」の記録
三嶋大社
静岡県浜松市に住んでいるしほと太郎は11月の3連休に、静岡県東部にある「伊豆国一の宮」三嶋大社を訪れました。境内にはおめかしした幼児がたくさんいました。
しほ お着物の女の子がいるね。
太郎 七五三の時期だからでしょう。
しほ そういえばそんな雰囲気かも。和装の人が多い。男の子の袴も立派だね。
太郎 五歳の男の子の七五三は袴着って言うくらいですからね。袴はちゃんとしてないと。
しほ 太郎は七五三行ったの?
太郎 幼稚園の隣が神明社だったので5歳のときはそこへ行きました。編集長は七五三でどちらへ行きましたか?
しほ 群馬県太田市の呑龍さまだったかな。よく覚えてないや。
社務所へ寄った、しほと太郎。太郎が山茶花を見つけます。
太郎 編集長! あそこ見てください。山茶花ですよ。
しほ ほんとだ。きれいだね。
太郎 次の七十二候は山茶始開だからちょうどいいですね。
しほ ん?いま太郎おかしなこと言ったよ。この花は「さざんか」で七十二候は「つばき」で何でちょうどいいの?
太郎 むかしは「さざんか」と「つばき」は厳密に区別されていなかったんですよ。七十二候は漢字では山茶始開で「さざんか」なんですが読み方は「つばき」となっています。
そして咲く時期から考えて、冬に咲くのは「さざんか」なので山茶始開は「さざんか」がはじめて開く季節、でいいと思います。
しほ 厳密に区別されていないって、太郎は蟋蟀在戸のときも同じようなこと言ってたよ。本当に「つばき」じゃないの?
太郎 散った花びらを見れば「さざんか」か「つばき」かは一目瞭然です。花が一枚ごと落ちるのが「さざんか」、首がもげるように花全体が落ちるのが「つばき」。寒椿などの交雑種もあるので厳密には言えないときもあるのですが、だいたいそれで見分けられます。これはどうですか?
しほ 花びらが一枚ごと落ちている。「さざんか」だね。
神鹿園
社務所での用事を済ませたしほと太郎は三嶋大社の境内にある神鹿園で鹿を見ました。
しほ うっ、くさい。
太郎 獣のにおいですね。
しほ でも、鹿の目が優しそう。
太郎 黒く潤んでいますね。それにしても神様の鹿さん、すごい食欲です。
しほ 今日は三嶋大社のいろいろなところを見たね。
太郎 はい。神社はテーマパークですよ。家族ででかけてお祈りやお祓いといったライブに参加できます。池の橋を渡ってしか行けないお社や富士講などアトラクションもあります。参道ではお茶とお菓子を飲食できて、神獣とふれあえます、くまなく散策すると隅っこで句碑や歌碑を見つけて教養を深められます。
しほ きゅ、急にどうしたの?
太郎 だから神社はテーマパークなんですよ。おまけに神社はお守りやお札を記念に買って帰れて、御朱印集めというスタンプラリーゲームもできます。季節に応じてお正月イベントや夏祭りイベント、それに七五三イベントもあります。ディズニーランドがない時代だったら休日には子供を連れて出かけたくなる魅力が神社にはありますね。
しほ よくわからないけど、神社は千年以上人を呼びよせる商売をしているんだから当然でしょ。
さざんかさざんかお日さまに汚され 林甲太郎