森里海の色
木版画が彩る世界「ヘビイチゴ」
ヘビイチゴは、赤くてよく目立つ実をつけます。けれどこの実は美味しくなくて、人の食用にはなりません。名前の由来は、ヘビにでも食べさせておけ、という説や、ヘビが出そうな場所に生息するから、など諸説あるようです。
小学生時代に、ヘビイチゴの食用にチャレンジした。マズかったということだけは覚えているけれど、どんな味だったか思い出せない。再挑戦もしたくない。
食用にはならないが、薬になるという。実ではなくて全草を煎じて解熱剤とするそうだ。いわゆる漢方薬である。
漢方というと思い出すのが、料理好きが高じて、薬膳の教室に通ったことだ。薬膳というと、特徴的な薬味が入った料理、と思っている人が多いけど、それは正しくない。「医食同源」をモットーとする中医学(は、漢方とは違うんだけど)に基づく、料理による養生法だ。五行の考えで、食べる人の体調、そして食材と調理方法を考えるのは難しいけど、とてもエキサイティングだった。しかも美味いしね。
中医学の基本的な考えは五行にある。学んでみると、ちょっと無理矢理感もありながら、モノの関係性について、とても参考になる。
人にしたって、誰もが他の誰かと関係しているし、よい関係もあれば、悪い関係もある。それを理解して、関係を利用しながら、ものごとをよくしていくのだ。
不調の遠因を見つけて少しずつ治していく、身体が治すのを手伝うのが東洋医学だとすれば、原因がハッキリした病気に対して、切除や特効薬などで解決をはかるのが西洋医学だ。医療の世界では、再び東洋医学が見直され、今は医学部の教育にも漢方教育が行われるようになっている。
そういう観点でみると、今の住まいは、西洋医学的指向が著しく強いのではないか。では東洋医学的な住まいとは? と、自問する日々だ。
文/佐塚昌則