森里海の色
柿木村の一輪挿し「コウバイ」

紅梅

このところの春めいた陽気で寒村も雪溶けが一気に進んだ。
そしてようやく枝に春告げの花が咲いた。

裏庭に鳥たちが集まり盛んに草の陰や土の中を啄んでいる。
野も山も春の息吹で生き生きと目覚めているようだ。

梅の花はまだ蕾の時に紅梅か白梅かどちらか判らない事がある。
その時の見分け方というのが有るのだと知った。
枝を切って見ると紅梅は赤い断面、白梅は白い断面で一目瞭然という訳なのだ。

花札の梅は二月。寒さのせいで一か月遅ればせの梅の花だ。
短冊に書かれた「あのよろし」は「あ可よろし」なのだ。
「赤」はやっぱり元気な色で「宜しい」のだね。

さあ、陽気に釣られてあちこちに出かけようと思う。
(気分は良いはずなのにクシャミが止まらない。寒さの次は花粉で鬱な気分に陥るのだろうか。)

この季節はキャンディーズの鼻歌でも口ずさみながら気分転換としたいな。

著者について

田村浩一

田村浩一たむら・ひろかず
建築
1954年生まれ。株式会社リンケン代表取締役。中国山脈の辺境の地で、美しい森や川や棚田に囲まれながら木と建築の仕事を展開。山野辺の四季の移ろいを感じながら、酒を愛し、野の花を愛で、暮らしに寄り添う棲家とは何かを考えながら生活している。一輪挿しはライフワークのひとつ。