はじめてのこよみ暮らし

七十二候をはじめて過ごす「家族」の記録

ぬくもり求めて綿つくり

台風21号が本州へ接近しています。そんななか、しほと太郎は次の「はじめてのこよみ暮らし」で何をするか決めあぐねています。

しほ 5日に1回こよみを追いかけるって楽しいけれど、気が付いたらこよみに追い抜かされそうだね。
太郎 意外とスパン短いですよね。今回は霜降で霜始降の霜づくしですから、霜を踏まえた企画の方がいいのではないですか?
しほ 車のフロントガラスの霜対策は、どう?
太郎 解氷剤をつくることはできます。無水エタノールと水を混ぜるだけですから。でも、現に静岡県では霜がおりていないので液体を混ぜただけの記事になってしまいますよ。
しほ めだかの霜対策は?
太郎 台風のなか、何をさせるんですか。
しほ うーん。そういえば寒いね。東京へ出張したら、もう冬みたいだった。
太郎 確かに肌寒くなりましたね。
しほ 寒いから、あたたかいこよみ暮らしがしたいなあ。
太郎 11月の口切には早いですが、熱いお茶でも淹れましょうか?
しほ あ、そうだ。ぬくもり、、、太郎、ちょっと出かけるよ!
太郎 (お茶の話をしていたのに……)

綿繰体験

しほと太郎は浜松駅前にあるコミュニティスペース「Any」へ行きました。そこで開催されていたのは、「遠州綿紬ぬくもり市」。
名前から体が温まりそうです。遠州綿紬とは、しほと太郎が暮らす浜松で江戸時代から織り始められた織物です。以前、菊枕を作ったとき、しほが持っていた巾着はこの綿紬でできています。
「遠州綿紬ぬくもり市」では、遠州綿紬を使った綿製品が販売され、綿繰機わたくりきを使って綿から種を取る工程も体験できました。

 

しほ おお、種が取れたよ。
太郎 意外と簡単に種と綿を分けられますね。
おじさん そうですね。種を取ったあとの綿は綿弓わたゆみで打ってほぐします。綿打わたうちっていいます。

おじさんがボヨンボヨンと綿弓の弦をはじきます。綿がほぐれてふわふわとしてきました。

しほ すごい。それだけで綿がほぐれるんですね。
太郎 そういえば、綿を取ったあとのこの種はどうするんですか?
おじさん 綿実油めんじつゆといって食用油になります。
太郎 綿は余すことなく衣食に使われるんですね。

遠州綿紬ぬくもり市

種を取る前の綿は草綿わた木綿きわたといいます。この草綿や木綿といった原料、そして綿取や綿打といった工程は秋から冬にかけての季語となっています。
今あなたが着ている服が何からどうやって作られているのか、そしていつが原材料の旬なのか。この木綿の季節に考えてみるのもいいかもしれませんね。

霜色の木綿は濡れて霜色に 林甲太郎