森里海の色
柿木村の一輪挿し「ナンキンハゼ」

南京黄櫨

夏の間はみっちりと茂った葉っぱが緑陰を作って暑さを和らげてくれていたナンキンハゼも今はすっかりと葉が落ち裸の木枝に実を付けている。
ナンキンハゼは成長が早いので庭に夏の木陰を作るのには最適だ。
冬には葉を落とし柔らかな冬陽を誘い込んでくれる。
思ったより大きくなってしまうので植える位置はよく考えなくちゃならないけど。
黒い殻の中から白い実が覗いて絶妙のコントラストを魅せてくれた。
赤と白の方がビジュアル的には明るくて目出度いのだけど黒白も悪くない。
その黒白を花器に挿してみると不思議とコケティッシュでもある。
黒ヤギさんと白ヤギさんの手紙の歌などが浮かんできてつい頬が緩んだ。

著者について

田村浩一

田村浩一たむら・ひろかず
建築
1954年生まれ。株式会社リンケン代表取締役。中国山脈の辺境の地で、美しい森や川や棚田に囲まれながら木と建築の仕事を展開。山野辺の四季の移ろいを感じながら、酒を愛し、野の花を愛で、暮らしに寄り添う棲家とは何かを考えながら生活している。一輪挿しはライフワークのひとつ。