はじめてのこよみ暮らし

七十二候をはじめて過ごす「家族」の記録

花柚子-一才柚子

柚子湯の入り方

しほと太郎は浜松市の遠鉄ストアにいます。冬至に向けてなにかを探しているようです。

太郎 ここにゆずは売っていないですね。ゆず湯の入浴剤しかありません。冬至直前じゃないとゆずは売っていないのかもしれません。
しほ そうだね。入浴剤じゃ、絵にならないね。群馬県だとゆずは親戚から貰うもので、買うもんじゃなかったけどね。
太郎 静岡県でも知り合いの家にゆずの木があればもらえるんでしょうが、移住者だとなかなかもらえませんね。

しほと太郎は別のスーパーマーケット・リベロで小さいゆずである花ゆず、こと一才ゆずを買いました。静岡県産とのこと。

しほ そういえば、どうして冬至にゆず湯に入るんだろう?
太郎 江戸時代に書かれた『東都歳時記』では冬至にゆず湯に入る習慣があったと書かれています。ゆず湯に入ると血行促進されたり肌荒れがよくなったりした経験則から冬至の習慣にしたと思われます。
あと、端午の節句には〈銭湯を沼になしたる菖蒲かな/其角〉の俳句のように菖蒲湯に入る習慣もあります。江戸に銭湯文化が定着してから、客寄せのためにつくっていた季節ごとの薬湯が年中行事化していったのではないでしょうか?
ちょうどスーパー銭湯の週替わり薬草湯と同じような感じです。
しほ そうなんだ。確かに季節ごとにお湯の種類や効能が違っていると楽しいね。

しほと太郎はさっそくゆずをお湯に浮かべます。

太郎 編集長すごいですよ!
しほ どうしたの?
太郎 蛇口から注がれるお湯の下にいるゆずはお湯が注がれるかぎりその場にずっととどまり続けます。これってベルヌーイの定理じゃないですか?
しほ 太郎は何を言っているの?
ゆず湯-ゆず風呂

太郎 ゆず湯は入ってみていかがでしたか?
しほ ゆずの香りが爽やかだったな。それとすこしお湯が温かく思えて体の芯からあたたまったかな。
太郎 ほほう。それでは私も入りますか。

あなたのおうちでも、今夜はゆず湯にしてはいかがですか?

柚子へ柚子のより添ひ合つてゐる柚子湯 林甲太郎