はじめてのこよみ暮らし

七十二候をはじめて過ごす「家族」の記録

霜柱

小寒の動物園

しほは今回はお休みです。太郎は浜松市を離れ、ひとり東京都の多摩地方にいます。朝、車のエンジンをかけようとしたら前が見えません。フロントガラスに霜が張っています。

太郎 太平洋に面した浜松市にくらべて、東京都日野市は内陸だから朝の温度が低いのでしょうか。ワイパーでも削れませんね。
太郎 仕方ありません、ホテルからお湯を借りてきますか。

フロントガラス凍結

さっきから太郎は誰と話しているのでしょうか。さて、ホテルの人にバケツとお湯を借りてフロントガラスの霜を融かした太郎。どこへ向かうのでしょう?

太郎 うー、寒い。ちょっと早く来すぎたかな。

太郎は多摩動物公園の正門に並んでいます。しかも列の一番先頭です。後ろの小学生が前を譲ってくれないか上目遣いで太郎を見ますが、太郎に譲る気はまったくありません。

太郎 なぜ小学生に譲らないのかって? 小学生の入場料は無料、私を含めた一般は600円だからですよ。

太郎は誰に答えたのでしょうか? それにしても無料だからと言って子どもに順番を譲らないとは、大人気ない大人もいたものです。午前9時半に正門が開き、太郎は多摩動物公園に入ります。

太郎 イノシシーだ! 来年の干支だから今年は関係ないって顔してますね。

猪

太郎 二ホンカモシカです。あれは雌ですかね。

日本羚羊

そして、太郎はシフゾウを見つけました。太郎は七十二候「麋角解」で麋がシフゾウだと知り、そしてシフゾウが種の絶滅をまぬがれたストーリーを知ってシフゾウを見たくてたまらなかったのです。

太郎 やはり、もうシフゾウは角が落ちていますね。去年の12月26日から30日までが麋角解でしたが、そのあたりで角を落としているのでしょう。

シフゾウ

太郎 シフゾウは干し草を食べたあと氷を舐めていますね。シフゾウは中国の湿地帯で生息していたといいます。だから地面がちゃんと湿っている展示になっていて、その水分が凍結しているんですね。

氷をなめるシフゾウ

太郎は帰りにトナカイも見ました。シフゾウと違いまだ角がついています。

多摩動物公園のトナカイ

太郎 トナカイの角はまだしばらく落ちそうにないですね。やはり麋角解の麋はトナカイではなくてシフゾウで間違いなさそうですね。

入場して一時間ほど、太郎はひとり納得して多摩動物公園をあとにしました。みなさんはお正月休みどこへ行きましたか?

寒中や動物園に骨の音 林甲太郎